IUD装着ヒト子宮の筋電図学的研究
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概要
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IUD(子宮内避妊装置)は, 現在広く臨床的に使用されているが, その作用機序はいまだ十分に解明されていない. そこでわたくしはIUDの作用機序解明の一端として, IUDを装着した婦人の子宮筋電図を管外導出と管内導出により双極導出法を用いて記録し, 特にその筋電図のスパイク放電の頻度及び振巾に主眼をおいて検討を行い若干の知見をえた. 1. 管外導出法による子宮筋電図と管内導出法による子宮筋電図には, ほぼ同様なるスパイク群がみられた. したがつてIUD装着ヒト子宮の筋電図記録は, 管内導出法に主体をおいて行なうことにした. 2. 管外導出によるIUD非装着子宮筋電図とIUD装着子宮筋電図を比較すると, 後者には周期的に高頻度に群発するスパイク放電がみられた. 3. 管内導出によるIUD非装着子宮筋電図とIUD装着子宮筋電図を比較すると, 後者において特に時定数を0.3秒, 0.1秒としたときに, 高頻度のスパイク放電が認められる. 4. IUD装着1年6ヵ月の婦人の子宮筋電図とそのIUDを除去したあとの筋電図を比較すると, 後者にはスパイク放電の頻度が著明に低下しているのが認められた. 5. 子宮筋腫のある婦人の子宮筋電図には, かなり頻度の高いスパイク放電と振巾がみられ, 正常子宮の筋電図とは明らかに異なったものが認められた. 双極導出法によるIUD装着子宮筋電図と非装着筋電図では, IUD装着子宮の筋電図に明らかな電気的興奮の亢進が認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-01-01