視床下部性LH放出因子に関する研究
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概要
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脳下垂体前葉からのLH(黄体化ホルモン)の分泌が視床下部から分泌されるLH放出因子(LH-RF)という新しいホルモンによつて支配調節されていることがMcCannら(1960)によつて明らかにされて以来LH-RFの研究は生殖生理学,内分泌学,産婦人科学における最も重要な研究課題となつた.そして世界各国において多数の研究が発表されているが,今日なおLH-RFの化学構造は不明である. 本研究では,LH定量法として卵巣アスコルビン酸減少法横田変法を用い,先ずLH-RFのin vivo定量法としてestrogen注射去勢雌ラツト法と幼若雌ラツト直接注射法を確立し,また家兎排卵法について検討した.次いで,本邦産牛視床下部中にLH-RFが存在することを明らかにした後,数万頭分の牛視床下部酸性粗エキスを処理後,Sephadex G25のゲル濾過法により分画し,各分画についてvasopfessin活性,FSH放出活性を定量すると同時にLH放出活性を上述の2方法を用いて定量した.活性陽性の分画について更に下垂体摘出幼若ラツト及び視床下部破壊去勢ラツトに注射してそのLH放出活性を確かめた結果,A,B,C,D,Eの5分画にLH放出活性を認めた.この中B,C,Dの分画はFSH放出活性を合併したが,A,E分画はLH放出活性のみを示したのでA,E分画はLH-RF活性を含むと考える.欧米では類似の精製法で1,または2分画のLH放出活性を認めているにすぎないので,上述の所見は全く新しい知見であり,彼我の成績相違の理由について考察した.また,A分画を更にDEAE chromatographyで精製したLH-RFを2例の婦人に世界最初の臨床実験を行なつたが投与量が少なすぎたためか無効であつた. その他,各種既知物質のLH放出効果を検討した結果,数種のアミンに活性を認めたがその中にSchallyら(1968)がFSH-RFそのものではないかと推測しているputrescine, lysine, spermidine, histamineに初めてLH放出活性を認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-04-01
著者
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