胎児心電図による胎児切迫仮死の早期診断について
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概要
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胎児切迫仮死を早期に診断するために,妊娠10ヵ月,頭位にて何らかの産科的異常があると思われる症例350例につきその胎児心電図を分娩開始前に腹壁より誘導し,その中102例については分娩開始後も波型を追求し,その波型の変化を検討した.胎児心電図波型はR型,Rs型(R>2s),RS型(R≒S),rS型(2r<S),S型の5型に分類して次の結果を得た. 1) R成分の多い波型は一般に予後が良くApgar指数も高値を示す. 2) rS型,S型は一般に予後が悪く,Apgar指数も低値を示した. 3) 産科的に異常があり,胎児切迫仮死を助長すると思われた臨床的所見でも胎児心電図波型により予後は異つてくる. 4) 一般に〓帯巻絡例,妊娠中毒症例,羊水混濁例は胎児心電図波型により予後を判定することは困難であり,R型を示し胎児予後の不良例はR型の11%を占め,逆に,rS型,S型を示して胎児予後の良好なる例はrS型,S型全体の12%を示し,その臨床的所見としていずれも〓帯巻絡,妊娠中毒症,羊水混濁が認められている例であつた. 5) 心拍異常を示した例で,その胎児心電図波型がrS型,S型であれば先天性心疾患を疑うことができる. 6) 分娩開始後に胎児心電図波型の変化を認められるものは18.6%であるが,R成分の多い例よりrS型,S型へ変化する症例は胎児切迫仮死を考えて,分娩監視を厳重に行うべきである. 7) 分娩開始後の波型がS成分の多いものに変つていつた場合,母体より酸素吸入を行つても波型の改善が認められない時は胎児切迫仮死を考えてもよい.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-03-01
著者
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