静止電位測定による癌浸潤診断法について
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概要
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動物,植物を問わず発育旺盛な組織は負電位に傾くという一般原則があるので,特に増殖の激しい癌組織が電気的に負電位を帯びることは当然推測出来る. 子宮癌根治手術後及び放射線治療後の骨盤内再発,特に子宮旁結合織,腟旁結合織などが単なる瘢痕か,炎症性のものか,fibrosisか,癌浸潤によるものかを早期に鑑別することは殆んど不可能である.そこで著者は骨盤内の静止電位を測定することによつて早期に鑑別することを試みた. 1) 著者は改良分極電極を試作し,これをチョッパー型の直流微小電圧測定器に接続して使用した.この電極は700銀針で尖端のみをAgClでメツキしたものと,Au, Cr, Niでメツキしたものを作り比較検討しながら使用した. 2) 動物実験.C3HマウスにMH-134腫瘍を皮下に移植して,皮膚と腫瘍との電位を測定した.腫瘍動物16匹測定し,13匹の腫瘍が負電位を示した.健常勤物25匹の背部の皮下組織が正電位を示した. 3) 非癌患者37例について子宮腟部及び子宮内膜を104回測定し,35例,92回正電位を示した. 4) 子宮頚癌患者21例について57回測定し,16例,43回負電位を示した.測定の結果,初期の癌性変化の方が,むしろ忠実に反応することがわかつたので,病変部の早期診断が可能である. 5) 子宮癌根治手術後患者の子宮旁結合織,腟旁結合織に抵抗のある24例について測定し,17例が正電位を示し,7例が負電位を示した.その内,4例は組織検査で癌を証明したが,残りの3例は癌を証明していないのでfollowup中である.尚,正電位を示した17例については臨床経過,その他の所見から正診であることが確かめられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-02-01
著者
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