産科領域におけるレノグラム妊娠その他の条件に対する検討
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概要
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核医学とMEの進歩によつて新しく登場した腎機能検査法であるレノグラムを産科臨床に応用するに当つて問題となる点について検討を試みた.まず曲線の分析では従来多く用いられて来た定性分析に代つて,より客観性を高める為に定量分析をとり入れ,諸値のうちTmax, T1/2, tan θ/Bの3値を用いた.正常健康人の統計処理及び正常者と腎機能異常者の比較から之等の値の限界値を定めた.之に基いて正常妊婦のレノグラムを分析すると妊娠6ヵ月頃より異常値が現われ,妊娠の進行と共に異常が増強し,分娩終了後2ヵ月以内に之等の値が正常値に復する.即ちこの間は合併症がなくとも妊娠自体の影響によつてレノグラム異常を呈することが分かつた.測定条件に於では脱水状態の異常が水負荷によつてしばしば改善を見,又坐位から臥位に変ることによつてもレノグラム像の改善が見られる.その機序には尚不明の点も多いが,負荷試験として診断的価値をまずことが出来る.他の腎機能検査との比較ではクリアランス(GFR, RPF), PSP, BUN等とそれぞれ或る程度の平行関係を認めたが,中でもRPF (GFR)とtan θ/Bに密接な関係を見出した.之を要するにレノグラムは産科領域でも優れた腎機能スクリーニングたり得ることが分かつたが,他検査との併用,検査の条件を考慮する必要があり,又妊娠後半期には特別の考慮が必要であることが分かつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-02-01
著者
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