ヒト胎盤絨毛単層培養細胞に及ぼす4-Nitroqulnoline-1-oxideの影響について
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概要
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ヒト正常胎盤絨毛細胞の単層培養を行ない,その試験管内増殖が化学発癌剤である4-Nitroquinoline-1-oxide(以下4NQO)処理によつてどのような影響を受けるか,いろいろな処理濃度,処理時間について検討した.また同時に4NQO添加直後に起こる細胞内の変化を核酸合成の面から検討した.I.幼若胎盤絨毛の細胞培養をトリプシン消化によつて26例に試み,そのうち12例培養に成功した.II.初代培養細胞は培養12〜22日に継代可能の状態となり,接種細胞数を10×10^4/bottleで継代すると,培養7〜8代のあいだは約10日で20-50×10^4/bottleの細胞数の増殖がみとめられたが,8〜9代で細胞の増殖は急速に減弱し,12代(120日)で停止した.III.4NQO5×10-6M〜5×10^<-7>Mの濃度につき検討したが,2×10^<-6>M以上では処理後長期観察したが増殖はみとめられなかつた.IV.4NQO5×10^<-7>Mで24時間処理した直後より細胞の増殖が促進された.この増殖の促進は-時的で,継代4-5代(処理後30-40日)で増殖態度は対照群と同じとなり,両群とも処理後120日で増殖は停止した.V.4NQO処理により核酸合成は著明に抑制されるが,そのcriticalな濃度は1〜2×10^<-6>Mであつた.VI.2×10^<-6>Mで細胞処理をつづけ,経時的に核酸合成の変動をみると,処理直後より急激な核酸合成の抑制が起こるが,6時間をすぎるころよりRNA合成の回復がみとめられ,この回復は核小体の機能の回復と関連づけられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-12-01
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