胎児新生児心拍数基線細変動の周期性の高速フーリエ解析による検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
鳥取大産科婦人科で,妊娠23〜41週の正常妊婦68例,正常分娩8例,無脳児1例,遅発一遇性徐脈1例,sinusoidal pattem 1例,正常新生児11例につき,心拍数図の周期性を高遠フーリエ解析(FFT)を用いて検討し以下の結果を得た. 1)正常妊娠で超音波ドブラ信号と自己相関計式心拍数計を用いた心拍数図と,分娩時胎児心電R棘をトリガとした瞬時心拍数図の両者で,FFTのサンプリング時間を100秒,サンブル数を512個としたとき,高いパワーの出る周波数領域は両者共にO.01〜O.34Hzであり,特に強いパワーの出た周波数も,0.01,0.03,0.06〜O.07,0.1,O.13,0.16Hzとよく一致していた. 2)同一胎児のドブラ信号自己相関心拍数図と心電信号瞬時心拍数図のFFTでは,0.02〜0.3Hz以下がよく一致し,O.3〜O.5Hzでもほぼ一致した.すなわち超音波ドブラ信号の利用が可能であった. 3)1例のsinusoidal pattemで,0.05Hzにピークを認め,解析に有用と思われた. 4)胎動の少ないinactive phaseに0.02〜0.12Hzの周波数,すたわち8〜50秒周期の波が多く,胎動の多いactive phaseや,新生児の活動期に,0.2〜O.4Hzの周波数,すなわち2.5〜5秒周期の波が特に認められた. 5)延髄のみ低形成で残存し,大脳小脳の欠損していた無脳胎児には,0.12Hz以下の周波数,すなわち8秒以上の周期の波しか出なかった.同様所見は,遅発一過性徐脈例胎児,及び胎児新生児安静期にも認められた. 6)新生児では,O.64〜O.8Hzの周波数,すなわち1.3〜1.6秒周期の心拍数変動が特徴的で,呼吸によるものと考えられた. 7)母体に硫酸アトロピン投与前後で,胎児心拍数基線,細変動,周波数解析結果に有意な変化は,みられなかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-01-01
著者
関連論文
- 228.胎児新生児心拍数基線細変動の周期性の高速フーリエ解析による検討 : 第46群 ME I(228〜233)
- 41.DHA-S投与の母体・胎児への内分泌学的影響 : 第8群 妊娠・分娩・産褥V(37〜41)
- 226. 外側法信号を用いたマイクロコンピュータによる胎児仮死自動診断 : 第48群 MEII
- 妊娠,分娩周辺期妊婦血中total E3とfree E3に関する研究
- 237.胎児心拍数変動の周期性に関する研究 : 第40群 ME III (234〜239)
- 胎児新生児心拍数基線細変動の周期性の高速フーリエ解析による検討