Pregnancy induced hypertension (PIH) における17α,20α-dihydroxy-4-pregnen-3-one(17α,20α-P) の意義とその産生源に関する研究
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概要
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正常妊娠とpregnancy induced hypertension (PIH) の妊娠末期母体血と臍帯動静脈血の17α,20α-dihydroxy-4-pregnen-3-one(17α,20α-P)を測定しPIHとの関連性を検討した。また、17α,20α-Pの産科婦人、新生児での推移を明らかにし、併せてその産生源をin vitro で検討した。正常妊娠67例と妊娠後期において2週間以上にわたり収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上を示したPIHの症例30例の母体血、臍帯動静脈血の17α,20α-P,17α-OHP,AldosteroneをHPLCで分離しRIA法で同時に測定した。さらに正常産科婦人30例と新生児15例の分娩後6日目までの17α,20α-P、17α-OHPの推移をRIA法にて測定した。in vitro の実験は成熟婦人の卵巣黄体と正常分娩後の胎盤の800G上澄を用いて、pregnenolone(P_5),progesterone(P),17α-OHPの[4-^14C]で標識した物を基質として補酵素と共に37℃でincubationしてtime course をとり17α,20α-Pへの転換率をみた。1)17α,20α-Pの母体血、臍帯動脈血、臍帯静脈血の値は正常妊娠では0.39±0.08,0.33±0.09,0.50±0.12ng/ml,PIHでは0.64±0.19,0.65±0.19,0.84±0.17ng/mlであった。いずれも臍帯静脈血が高い値をとり、正常妊娠との比較ではPIHの症例で有意に増加していた。同時に測定した17α-OHP,Aldosteroneは正常妊娠とPIHでは差がなかった。2)産科婦人との新生児の17α,20α-P,17α-OHPの推移は並行していた。3)in vitro の実験では卵巣黄体組織を用いたときはP5,P,17α-OHPいずれを基質とした時にも17α,20α-Pの生成をみたが胎盤では17α-hydroxylaseが存在しないため17α-OHPを基質とした時のみ17α,20α-Pへ転換された。以上の事実より17α,20α-Pは17α-OHPを前駆物質として成熟婦人では卵巣黄体で、妊娠中は胎盤で主として産生されることが判明し、PIHとなんらかの関連を有して血中濃度が増加することが明らかとなった。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-05-01
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