ヒト胎盤のグルタチオンに関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
正常および異常妊娠の胎盤組織中に存在する還元型グルタチオン(以下GSHと略記), 酸化型グルタチオン(以下GSSGと略記)の量的変動と臨床症状との関係につき検討し次のようだ結果をえた.1)正常妊娠経過中における胎盤GSH量は, 妊娠24週で最も低値(2.80±1.76mg/100g tissue)を示し, 妊娠末期と妊娠初期とではほぼ同値を示した(18.84±5.6mg/100g tissue, 16.45±5.9mg/100g tissue). GSSG量は, 妊娠中期にやや低値を示したが全期を通して大きな変動はなかつた.GSH/GSSG比は, 妊娠8週より低下しはじめ妊娠28週で0.57と最も低値を示し, 妊娠末期では妊娠初期とほぼ同値を示した.2)流産胎盤のGSH量は, 正常胎盤の値の約1/5であつた.GSH/GSSG比は, 正常胎盤の約1/13の低値を示した.3)妊娠中毒症胎盤におけるGSH量は, 軽症例では低値を示し, 重症例では正常妊娠に近い値を示した.GSH/GSSG比は, 正常妊娠例に比して麦壬娠中毒症軽症例で約1/9, 重症例で約1/2の低値を示した.4)Lightfordatesinfantの胎盤のGSH量, GSH/GSSG比はAppropriate for dates infant(以下AFDと略記)の胎盤の約1/2の低値を示した.5)児の出生体重とそあ胎盤のGSH軍およびGSH/GSSG比についてみると, 2, 0009r以下の低出生体重児群と4, 001gr以上の巨大児群は, 2, 001gr〜4.000grの児より低値を示した.6)新生児仮死の胎盤のGSH量は, 非仮死群より低値を示し, 仮死の程度が進むにつれてより低値を示した.7)正常胎盤組織の細胞分画において, GSH/GSSH比は, 可溶分画, ミトコンドリア分画, ミクロゾーム分画ともにほぼ同値を示した.
- 1981-01-01
著者
関連論文
- ヒト胎盤のグルタチオンに関する研究
- 230. High risk pregnancy の胎盤におけるグルタチオンの母児におよぼす影響 : GSH/GSSG ratioからの検討 : 第43群 妊娠・分娩・産褥 胎盤 その2
- 247. 胎児血および母体血の酸素親和性の差異に影響をおよぼす諸因子について
- 194. 妊娠初期の流産の成因に関する赤血球内2,3-DPGの意義 (第14群 血液 (194〜197))
- 137. 分娩前及び分娩時の子宮内胎児死亡の成因に関する赤血球内解答糖系の役割 (第9群 胎児・新生児 (118〜141))
- 109. 流産誘発因子としての血中メトヘモグロビン消長に関しての研究