妊娠時子宮頚部浮腫に対する頚部histamineの意義一
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概要
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妊娠時の子宮頚部間質浮腫の発現機序を解明する目的でラットを用い子宮頚部肥満細胞数,histmaine量及び頚部水分量について研究した.その結果を要約すると次の通りである.1. 子宮頚部の肥満細胞数は妊娠後一時増加し,妊娠4〜6目目最高値に達する.1O日目からは急激に減少し15日目に非妊娠時の約55%にまで減少するとその後の変化は軽度である.頚部histamine量の変化もこれに酷似し非妊娠時の25・9±1・6μg/g dry weightから6日目48.8±4.4μg/gd.wt.に増加し,10日目44.7±6.9μg/gd.wt.となり15日目17.1±0.8μg/gd.wt.と急激に減少し,それ以降の減少は軽度である.肥満細胞数と頚部histamine量の相関係数はγ:0.95である.他方皮膚結合織のhistamine量は非妊娠時39.0±4.5μg/g wet weightであるが妊娠全経過を通じて大きい変化を認めない.2. 頚部水分量の妊娠経過に伴う変化は頚部histamine量の変化と鏡面像を呈し,妊娠6日目に一時減少するが,12日目頃より急速に増加し,15日目以降は軽度である.頚部水分量と頚部histamine量の相関関数はγ=-0.88である.3. 子宮頚部熟化に有効とされる薬剤(estriol, prostaglandin F_<2α>, prostaglandin E_2) の投与によって頚部組織histamine量は減少し,頚部水分量は増加する.この効果はestriolに最も強く,ついでPGF_<2α>,ついでPGF_<2α>の順である.4. histamine遊離物質compound 48/48の妊娠ラット頚管内注入によって頚部組織histamine量は減少し,水分量の増加する傾向が認められ,又,H_1受容体拮抗剤の前処置によってestriolによる頚部水分量増加効果には抑制傾向が認められる.5. Indomethacinの前処置によりPGF_<2α>による頚部水分量増加効果は抑制されるがestriolの効果は抑制されない.6. 上述の結果から妊娠時にみられる子宮頚部間質浮腫には頚部肥満細胞から放出されたhistamineが重要な役割を果たしていると考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-03-01
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