黄体退縮周辺期における偽妊娠ウサギ子宮・卵巣によるProstaglandins(PGs)の産生とPGF_<2α> の作用機構に関する研究
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概要
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内因性prostaglandin(PG)F_<2α>が黄体機能調節に関与していることが既報されているが,他のPGsの関与及びその作用機構については明らかではない.1.黄体退縮周辺での偽妊娠ウサギ子宮及び卵巣によるPGsの産生とその部位について検討した.a.子宮組織によるPGsの産生PGFの産生は黄体末期に子宮内膜で著明に高い(p<0.001).6keto PGF_<1α>の産生は黄体中期・末期に子宮筋で高い(p<0.01).PGFの産生は有意な変化はみられなかった.b.卵巣組織によるPGsの産生PGFの産生は卵巣では低く黄体退縮期でも低値のままであり,子宮内膜,子宮筋のPGF産生量との間に有意の差(p<0.001)が認められた.6keto-PGFF_<1α>の産生は,偽妊娠17日目まで黄体に比べ,黄体以外の卵巣組織(間質)での産生が有意に高かった(p<0.02).2.PGFF_<2α>の作用機構について検討した.偽妊娠ウサギ16日目の黄体にhigh affinity:Kd=1.1×10^<-8>M,B_<max>:286.3f mol/mg proteinとlowaffinity;Kd=1.0×10^<-7>M,B_<max>;1258.3f mol/mg proteinの2つのpopulationを有するPGF_<2α>receptorが存在することが明らかとなった. 以上の実験結果から,偽妊娠ウサギの黄体退縮機構は,黄体退縮時子宮内膜よりPGF_<2α>が急激かつ著明に産生され,それが黄体細胞のPGF_<2α> receptorに作用して黄体退縮をおこすという一連の機構によ、ることが明らかになった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-06-01
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