非妊時ヒト子宮収縮の月経周期による変化について
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概要
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正常性周期を有する正常な婦人及び器質性疾患(子宮筋腫,子宮内膜症)を有する婦人,さらに月経困難症(機能性,器質性)を有する婦人についてmicrotransducerを使用し子宮収縮を測定し,各性周期における子宮収縮の変化を観察すると共に,月経困難症と子宮収縮の関係を比較検討し,さらにProstaglandin(以下PGと略す)との関連を検索し以下の成績を得た.1)性周期を増殖期,分泌期前半,分泌期後半,月経期に分類して子宮収縮を測定し,振幅,回数,planimeter値に関してその10分間の計測値を比較検討した.2)正常非妊ヒト子宮収縮は,増殖期には振幅25.6mmHg,19.9回,分泌期前半は12.4mmHg,28.4回,分泌期後半は28.3mmHg,11.5回,月経期は42.3mmHg,12.9回であった.全体として月経期の収縮が最も大きく,増殖期と分泌期後半は差がなく,分泌期前半はさざ波様の収縮で最も小さかった.3)正常例を第1群,月経困難症のない器質性疾患を第2群,機能性月経困難症を第3群,器質性月経困難症を第4群とし,各性周期における子宮収縮を比較検討した.増殖期はいずれの群も比較的規則性のある収縮を示し,分泌期前半は第4群が特に強いが,どの群もさざ波様の収縮を示し性周期中最小の収縮であった.分泌期後半は第2群や第4群の器質性疾患を有する場合に大きな収縮を認めその振幅は第1群や第3群の約2倍で55mmHg前後を示した.月経期では第3群,第4群が平均振幅87mmHg前後の大きな収縮を示し,第1群,第2群の2倍以上の収縮であった.4)振幅が140mmHg以上では全例疼痛を認めた.5)月経困難症例にPG合成酵素阻害剤であるナプロキセン,ケトプロフェン,インドメサシンを使用し,収縮の振幅が減少する事により疼痛が軽減される事を認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-03-01