凍結化学療法の基礎的研究
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概要
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凍結手術と化学療法との併用治療について基礎的,臨床的に検討した、基礎実験はddN系マウスの大腿部皮下に1×10^6個のEhrlich腫瘍細胞を移殖して固型癌としたものについて行つた.化学療法としてはマイトマイシンC(MMC)を用い,さらに凍結手術および両者の併用を行つた.マウスの生存日数は,対照無治療群23.8±4.3日に比し,MMC治療群28.0土4.0目,凍結手術群29.5±6.1日といずれの単独治療においても有意な延命効果がみられたが,さらに両者を併用すると,凍結後にMMC投与を打つた群では38.7±5.2日と著明な併用効果がみられた.またこの併用治療に免疫賦活剤PSKを1週間追加すると45.0±9.3日とより延長傾向を示した.各治療にともなう細胞性免疫能の検討では,凍結単独治療群において一過性の免疫能の上昇がみられた.次に凍結化学療法の併用効果に関して,凍結による腫瘍内への抗癌剤のuptakeの状態について,^3H-5FU,^<14>C-5FUを用いて検討した結果では,腫瘍辺縁部では凍結により抗癌剤の取り込みの増加がみられたが,腫瘍中心部では差が認められなかった.さらに凍結により取り込みの増加がみられた腫瘍辺縁部において,凍結後の取り込みを経時的に検討すると,凍結6時間後から12時間後にかけて有意な取り込みのピークが認められた.以上の事実に基づいて行つた外陰部悪性腫瘍への臨床応用においても良好なresponseが得られ,凍結化学療法の有用性が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-01-01
著者
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