未培養羊水細胞を用いたFISH法による迅速な出生前診断
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概要
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目的:母体血清マーカー検査の普及に伴い,その結果により確定診断として羊水検査を行う機会が増えているが,受診妊娠週数が遅く従来の羊水細胞培養による核型分析を行う時間的余裕がない場合も少なくない.迅速な結果を得るために未培養羊水細胞を用いてFISH(fluorescence in situ hybridization)法を施行しその有用性を検討した. 方法:胎児染色体分析目的で羊水検査を受けた妊娠15〜25週の110名の妊婦より採取した羊水のうち約2mlを遠沈し,未培養細胞をスライドに固定し標本を作製した.13, 18, 21番とX, Y染色体に特異的なDNAプローブを用いて,multicolor FISH法を行い螢光顕微鏡下で観察し,G分染法による核型分析と比較した. 成績:110例中全例で50細胞以上に各染色体に特異的なシグナルを検出することができた.後日得られた培養後の核型分析で1例に18番染色体のモザイクを認めたが,FISH法による分析では92.0%の細胞で18番シグナルは2個認めるのみで,臍帯血による再検でもモザイクは否定された.他の109例では21trisomyの2症例と47, XXY, 46, XX/7, XXXを含め全例13, 18, 21, X, Y染色体の数に関して培養による核型分析と86.0〜93.2%の一致率で同様の結果を得た. 結論:FISH法を用いることにより羊水採取から2日であらかじめ設定した染色体の数的異常について診断が可能であった.本法にて新生児集団の染色体異常の95%を占める21, 18, 13trisomyと性染色体数的異常が迅速に分析でき,今後母体血清マーカー検査におけるスクリーニング陽性症例等に応用できると考えられた.
- 2001-04-01
著者
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