妊娠時子宮頚部熟化に関する研究
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概要
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妊娠による子宮頚部熟化の機序解明のため,妊娠及び去勢ラットにEstriol, PGF_<2α>及びOxytocinを投与し,投与群及び無処置群に於ける子宮頚部の伸展性・重量・水分量及びcollagen量を測定しさらに組織学的検討を加え次の結論を得た. 1) 妊娠による子宮頚部に関して,伸展性の変化は妊娠13日目頃より現われ妊娠経過と共に急速に増加し,分娩直後に最大値106.4×10^2mm/gを示す.重量は妊娠12日目頃より増加し始め分娩時に最大となる.他方妊娠ラットの体重は1日目より常に分娩時まで増加しつづける.子宮頚部の水分量は妊娠6日目に一時減少するが13日目より急速に増加し,15日目以後の増加はゆるやかである.collagen量の変化は妊娠6日目に一時減少するが18日目には約2.6倍に達する.しかし,collagen濃度は10日目より減少し始め15日目には3.0%に減少し以後は著変を認めない.組織学的所見では,間質は妊娠経過と共に疎となり膠原線維束の細分化されていく像が見られる.以上のことから妊娠13〜15日目における子宮頚部伸展性の増加には水分量の増加とcollagen濃度の減少の関与が示唆される. 2) 薬剤投与による妊娠子宮頚部に関して,伸展性の変化はEstriol投与で最も大きく,ついでPGF_<2α>投与でありOxytocin投与では変化を認めない,重量はEstriol投与及びPG F_<2α>投与に増加傾向が見られる.去勢ラット子宮頚部に於て,水分量はEstriol投与で有意に増加するがPG F_<2α>及びOxytocin投与では変化は少なく,collagen濃度に関してもEstriol投与においてのみ減少をみる.組織学的検索でもEstriol投与のみ間質の浮腫,膠原線維束の細分化をみる,以上の結果から,子宮頚部伸展性の増加機序にEstriolとPG F_<2a>とでは相異のあることも推測された.
- 1977-08-01
著者
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