ラットの着床周辺期における胚と内膜表面に関する走査型電子顕微鏡学的研究
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概要
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ラットの着床周辺期における胚と内膜の表面構造の変化について,走査型電顕的観察を行ない,次の成績を得た. 1) 正常着床期の子宮内膜上皮表面では,規則正しく配列する微絨毛は,長短不整となり,先端部が風船状に膨化した後,急激に屈曲,短小,不整化する.細胞質突起はこぶし状,入道雲状で,数が増えた後,壁が増し,縮小扁平化して,adhesion stageに微絨毛の原形消失と相呼応し,不整粗大な鋸歯状・海草状突起へ移行する. 2) 遅延着床時内膜では,比較的繁茂する微絨毛と巨大細胞質突起を認めるが,これは妊卵(原胚子)や卵管液の作用にもよるものではなく,progesteroneの作用による.またそのestrogenによる着床誘導時には,早期(4〜8時間)に一過性の分泌亢進像を呈した後,後期(16〜24時間)に平低下する. 3) 微絨毛先端部の風船状膨化はestrogen作用下に生ずるmicroapocirine像と考えられる. 4) 腺開口部構造が反間膜側内膜の側壁部に,孤立した1細胞面積分の陥凹や,舟底状の斜坑状の陥,裂隙として認められる.一方,上皮細胞がロゼット状に集合した所で,細胞間隙からの分泌を示唆する所見が得られた,これら2者ともにestrogenの作用下で顕著となる. 5) 胚の透明帯の表面は,素焼の陶器様で粗〓である.透明帯消失後,胚の表面に均等に生えていた微絨毛は,胚自体の増大や栄養膜細胞の増数に伴い消失してゆき,胚の表面は平滑となる. これら一連の所見は,胚と内膜が三次元的な観点からも,互いにより平滑な面で最初の接触を遂行していることを示すものである.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-05-01
著者
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