子宮内胎児発育遅延 (IUGR) ラットの絨毛におけるAlkaline phosphataseおよびNa-K ATPaseの局在に関する超微形態学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
概要 子宮内胎児発育遅延(IUGR)の発生メカニズムの解明を目的として、ラアトの片側子宮動静脈結紫によるIUGR胎仔を作製し、その胎盤における絨毛の形態的変化を検索すると共に、酵素細胞化学的にAlkahne phosphatase、 Sodium potasslum adenosme trlphosphatase の局在を電顕的に観察した。 ラット絨毛では、成熟に伴つて絨毛上皮細胞の増殖と絨毛間質の血管や線維成分の増加か認められ、電顕的には3種類の絨毛上皮細胞が観察された。すなわち、母体血液洞に面して細胞表面に微絨毛を形成し、細胎内小器官の比較的乏しい細胞と細胞質内に粗面小泊体などの小器官が発達し、ときに二核の核を有する細胞、さらに小型でmltochondnaの豊富な介在型細胞である。酵素細胞化学的には、AI-kaline phosphataseは表層絨毛上皮細胞(Cytotr叩hoblast)の細胞膜縁に、Sodium potassiumadenosine trlphosphatase はその外側細胞膜およひ基底側細胞膜縁に活性局在が認められた。 IUGR群では絨毛の変性萎縮や胎児側血管の基底膜肥厚などがみられた。電顕的には絨毛上皮細胞は腫大し、細胞間隙の開大、fibrin沈着を示し、母体血液洞に面する微絨毛の減少が認められた。また細胞質内にdense bodies や小空砲の増加、mltochondna腫大、nbosome減少などの変性所見がみられ、とくにこれらの変化は内層の細胎内小器官の豊富な細胞に顕著であつた。酵素細胞化学的にはAlkahne phosphatase、Sodlum potasslum adenosme trlphosphatase の活性局在に減少が観察された。物質透過性についてHorseradlsh peroxidase の反応産物の局在は、絨毛上皮細胞間隙や変性細胞の空胞内にみられ、対照群に比べて不規則であり、透過性の異常が示唆された。 以上、胎児-母体接合邦の絨毛上皮細胞におけるAlkahne phosphatase、Sodlum potasslumadenosine triphosphataseなどの膜系酵素の局在を微細構造的に明らかとした。また、乏血を原因とするIUGR疾患モデルにおいてこれら酵素の失活およひtracerの局在の異常を確認した。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-11-01
著者
関連論文
- 240. VIP (vasoactive intestinal polypeptide)のラット胎盤,胎仔臓器における分布と胎仔発育との関係 : 第42群 胎児・新生児 II
- 63 子宮内胎児発育遅延 (IUGR) における絨毛間質の変化
- 416 MTT改良法を用いた卵巣癌患者の至適制癌剤の選択
- 108. 子宮内胎児発育遅延(IUGR)の胎盤の構造と機能 : 特にラット胎盤におけるN_a^+-K^+ATP aseの局在について : 第15群 胎児・新生児
- 子宮内胎児発育遅延 (IUGR) ラットの絨毛におけるAlkaline phosphataseおよびNa-K ATPaseの局在に関する超微形態学的研究