子宮体癌における重複癌

概要

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目的:子宮体癌における重複癌発生頻度の解析を目的とした.方法:1982年から1998年までに当科で治療した子宮体癌282例を対象とし, 診療録の記載から, 重複癌の頻度, 重複癌と子宮体癌の予後因子との関連性, 重複癌における家族歴などを検討した.成績:(1)282例中, 重複癌は41例(14.5%)であり, 二重癌34例, 三重癌6例, 四重癌1例であった.重複癌頻度の年代別推移をみると, 82年〜87年10.8%, 88年〜93年10.6%, 94年〜98年22.1%であり, 近年増加が認められた(p<0.05).(2)41例(49癌)の内訳は, 乳癌17例, 卵巣癌8例, 結腸癌8例, 胃癌5例, 子宮頸癌3例, 白血病2例, 肺癌2例, その他4例で, 乳癌が近年有意に増加していた(p<0.001), また, 卵巣癌についても増加の傾向がみられた.(3)重複癌の発症時期は, 体癌前20癌, 同時16癌, 体病後13癌であった.乳癌は体癌前の発症が多く, 卵巣癌はすべて同時性発症であった.(4)重複した癌腫ごとに子宮体癌の予後関連因子を解析し, 非重複癌症例と比較検討したが, 有意な傾向は認められなかった.(5)2親等以内の家族歴に癌がある症例は, 重複癌41例中28例(68.3%), 非重複癌241例中92例(38, 2%)で, 両群間に有意差が認められた(p<0.001)、乳癌では76.5%, 結腸癌では75.0%の症例で家族歴に癌があり, 非重複癌症例より有意に多かった。結論:子宮体癌における重複癌, とりわけ乳癌と卵巣癌は近年増加しており, こうした癌発生を念頭においた子宮体癌の臨床的取り扱いが重要と思われた.また, 重複癌症例では非重複癌症例に比べ, 2親等以内の家族歴に癌のある症例が多く, 遺伝的背景が存在することが示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
2000-05-01

子宮体癌における重複癌

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