家兎における実験的卵管形成術の妊孕性に及ぼす影響

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卵管采を切除, または保存した卵管形成術後の妊孕性を確認するため, 日本白色家兎12羽を用い, microsurgery下に実験的卵管開口術および端々吻合術を施行し卵回収率あるいは妊娠率に及ぼす影響について検討した. 実験的卵管開口術において術後3週後にhCG 100IU静注にて排卵を誘発し, hCG投与14時間後に卵管, 卵巣を摘出, 初期黄体の数および卵管内排卵卵子の数を比較検討した. 初期総黄体数は, 健常側31個, 平均排卵数は5.17±0.31(mean±SE), 術側30個, 平均排卵数は5.00±0.37と有意差は認められず, 手術時侵襲は排卵に何ら影響を与えることはなかつた. 卵の pickupに関しては, 健常側では6例中全例が pickupされており, 平均回収数は4.83±0.40であつた. 一方術側は6例中5例に pickupが認められ, 平均回収数は1.83±0.40であり, それぞれの回収率は健常側93.5%, 術側36.7%と有意に開口術側に卵子の pickupの障害が認められた(p<0.01). 端々吻合術においては, その3週間後に排卵を誘発し matingさせた. 術側の妊娠率は健常側同様100%であり, 着床率は健常側93.9±3.9%, 術側75.0±8.9%と両者間に有意差は認められなかつた. SEM所見においては, 卵管開口術ではpickup 成功例のneofimbriaは, ciliated cellおよびsecretory cellが十分温存されており, そのciliated cellの占有率は正常膨大部に比し有意に高値を示し, ciliogenesisが促進されていた(p<0.01). 実験結果より膨大部を用いた卵管采切除を伴う卵管開口術でも形態学的に正常卵管采に類似していれば, Ovum pickup率は低率であるがその機能を代償できることが証明された. しかし端々吻合術と比較するとその排卵卵子の回収率は低く, 卵管采の重要性が確認された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1988-07-01

家兎における実験的卵管形成術の妊孕性に及ぼす影響

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