高GOT血症ならびに血小板減少症の妊娠中毒症における臨床的意義
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概要
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妊娠中毒症(中毒症)時に認められる高GOT血症, 血小板減少症の有する臨床的意義を検討するため, 分娩前7日〜分娩後2日間にGOT測定がなされていた中毒症症例145例について検討した. GOT 高値(>30U/L)群は60例, GOT正常群は85例であつた. これら2群について比較した結果は以下のとおりである. 1) 年齢, 初産婦の頻度, 血圧, 分娩前入院日数, 帝切率, 多胎の頻度, 分娩時週数ならびに出産児体重には差が認められなかつた. 2) 男児/女児比は正GOT群0.83に比し高GOT群1.10と高GOT群で男児が多い傾向が認められた. 3 ) 高GOT群では正GOT群に比し有意に血小板数が少なかつた(16.4±8.4 vs. 21.4±6.7×10^4/cumm, p<0.001). 4) 高GOT群では母体死亡が3例認められたが正GOT群では死亡例はなかつた. また周産期死亡率は正GOT群6.3%に比し高GOT群23.8%と有意に(p<0.01)高値であつた. これら高GOT群中, 低血小板症 (<15.0×104/cumm)を合併していた症例(高GOT・低血小板群) は31例であつたが, この群では周産期死亡率, 42.4%と極めて高値であつた. また高GOT血症, 低血小板症いずれも合併しない群66例と比較すると男児/女児比は高GOT・低血小板群で有意に高値であつた (2.00 vs.0.85, p<0.05). 以上の結果より以下のことが示唆された. 1) 中毒症において高GOT血症を合併すると低血小板症を合併しやすい傾向がある. 2) 中毒症において高GOT血症, 低血小板症を合併すると予後不良なのでより注意深い管理が必要である. 3) 中毒症において胎児の性が男であると高GOT血症, 低血小板症を合併しやすい傾向がある.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-06-01
著者
-
水上 尚典
北海道大
-
水上 尚典
自治医科大学
-
玉田 太朗
自治医科大学
-
水上 尚典
自治医科大学産科婦人科学教室
-
玉田 太郎
思春期をめぐる諸問題検討小委員会
-
高橋 勉
自治医科大学産婦人科学教室
-
玉田 太朗
自治医科大学産科婦人科学教室
-
玉田 太朗
自治医科大地域医療学
-
高橋 勉
自治医大
-
佐藤 正
自治医科大学産科婦人科学教室
-
岡 直子
自治医科大学産科婦人科学教室
-
佐藤 正
自治医大産婦人科
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