絨毛癌転移病巣に対する手術療法

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絨毛癌の治療成績は早期発見, 早期治療, さらに化学療法の進歩, また手術療法, 放射線療法, 免疫療法を併用した集学的治療などにより飛躍的に向上している. しかし, 手術療法に限つていえば, 転移病巣に対する手術療法の適応, 時期などの具体的取り扱いには一定の方針がないのが現状である. そこで昭和53年より昭和62年までの10年間に当科において治療した絨毛癌16症例に関して, 当科の治療成績及び絨毛癌転移病巣に対する手術療法を検討し, 一定の治療方針を求めた. 1) 絨毛癌16症例中死亡例は2例で, 14症例に寛解をみ, その寛解率は87.5%であつた. 2) Bagshawe予後スコアによる分類では high risk 9例, medium risk 5例, lowrisk 2例であつた. 3) 16症例中死亡例2例を含む14症例に転移病巣を認め, そのうち10症例に症状の軽減, tumor reductionによる化学療法の効果増強, 再発防止の目的で, 化学療法併用のもと, 手術療法を施行したところ, 10例全例とも寛解し再発もみていない. 4) 16症例中死亡例2例を含む14症例に肺転移を認め, その内9症例に肺葉切除術を施行し全例寛解した. 肺葉切除術施行例の寛解までに要した化学療法平均コース数は6.0であるのに対し, 化学療法のみの5症例の平均使用コース数は9.6であつた. 5) 16症例中3症例に脳転移を認め, 脳腫瘍血腫除去術施行した2症例は寛解したが, 化学療法のみで手術を行わなかつた1症例は死の転帰をとつた. 以上より肺, 脳転移を示す絨毛癌症例の転移病巣に対する積極的手術療法は症状軽減, tumor reductionによる化学療法の効果増強, 再発防止の三目的が明確であれば, 集学的治療の一環として有効であると思われた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1988-06-01

絨毛癌転移病巣に対する手術療法

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