女性踵骨Peak bone massの形成時期と影響因子についての検討
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概要
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近年, 放射線被曝がなく測定場所に制約が少ない超音波骨密度測定装置(超音波法)による踵骨骨量測定が普及し, 地域住民の骨粗鬆症健診等に利用されている. これまで, 超音波法にて健常女性の踵骨骨量を検討した論文は, 20歳以上を対象としており, 20歳未満を対象としたものは極めて少ない. 今回我々は超音波法にて12〜75歳までの健常女性の踵骨骨量を測定し, 同法におけるPeak bone mass(PBM)形成時期を調べた. また, PBMに影響する因子について検討し, 運動継続の重要性について明らかにした. 対象は富山県下に在住する明らかな骨代謝異常に関連する疾患の認められない女性845名で, 内訳は中学・高校・短大生411名と, 20〜75歳の地域住民434名である. 超音波骨密度測定装置Achilles(Lunar社)を用い, 右踵骨のStiffness(ST)を測定した. この結果, 中学・高校・短大生のSTは20歳以降のどの年代のそれよりも高値であった. とくに高校・短大生のSTは20歳以降の各年代のそれより有意に高かった. つぎに, PBMの影響因子を調べるために中学・高校・短大生366名に対し月経歴, 運動歴, 牛乳摂取状況とSTの関係を検討した. また短大生の一部98名に対し食事調査を施行しSTとの関係をみた. STは, 中学生では初経後年数と正の相関がみられたが有意ではなかった. 高校生では身長, 体重, Body mass index (BMI), 初経後年数, 運動歴と, 短大生では身長, 体重, BMI, 運動歴と有意な関係がみられた. また, 高校・短大生の影響因子について重回帰分析を行い, 高校生では運動歴と初経後年数が, 短大生では運動歴が説明変数として妥当であった. PBMの形成時期にある高校・短大生の骨量は, 中学時代からの継続的な運動習慣によって高められることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1997-01-01
著者
-
泉 陸一
富山医科薬科大学産科婦人科
-
泉 陸一
富山医科薬科大学医学部産科婦人科学教室
-
泉 陸一
富山医科薬科大学 産婦人科
-
長谷川 徹
富山医科薬科大学医学部産科婦人科学教室
-
新居 隆
黒部市民病院産婦人科
-
長谷川 徹
あさひ総合病院産婦人科
-
新居 隆
黒部市民病院
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