抗生剤の治療効果が期待できる絨毛膜羊膜炎症例の羊水中顆粒球エラスターゼ, インターロイキン-6, インターロイキン-8 濃度の検討
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概要
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絨毛膜羊膜炎は切迫流早産の主要な原因とされ, その治療薬としての抗生剤の効果については多くの報告がある. しかし, 抗生剤の治療効果が期待できるか否かについて客観的な指標を用いた評価の報告は少ない. 今回我々は, 妊娠32週以前の絨毛膜羊膜炎症例において抗生剤の治療効果が期待できる羊水中顆粒球エラスターゼ(PMNE), インターロイキン-6(IL-6), インターロイキン-8(IL-8)濃度を明らかにすることを目的に以下の検討を行った. 対象は, 妊娠16週以降32週以前の未破水症例で切迫流早産徴候を認め, かつ治療開始前の羊水穿刺により採取した羊水中の PMNE 値が200μg/L 以上を示した22症例である. 方法は全例に塩酸リトドリンの持続点滴を行い, 抗生剤は Imipenem/Cilastatin sodium(IPM/CS)を単独投与(0.5g×2/day, 平均11.5日間, 最長投与期間14日間)し, 羊水中 PMNE, IL-6,IL-8濃度, 羊水中糖濃度, 羊水中白血球数, 羊水培養などについて検討し, 以下の結果を得た. 1) 妊娠34週以前で早産になった予後不良群(n=12)と妊娠35週以降で分娩した予後良好群(n=10)とで検討すると, 治療前の入院時血清C-reactive protein(CRP), 羊水中糖濃度, 羊水中白血球数には有意な差は認められなかった. 2) 治療前の羊水中 PMNE, IL-6, IL-8濃度についてはいずれも予後不良群で有意に高値であった(p < 0.05). 3) 7日間以上妊娠が延長できた症例は, 19例(86.4%)であった. 4) 検討した羊水中の診断マーカーの推移と予後良好群の羊水中の診断マーカー値(mean+2SD)から, 抗生剤による絨毛膜羊膜炎の治療効果が期待できる羊水中のマーカーの基準値はおよそPMNE; 1,000μg/L, IL-6; 2,000pg/ml, IL-8; 3,500pg/ml以下と判断された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1997-12-01
著者
-
田中 俊誠
秋田大
-
平野 秀人
秋田赤十字病院
-
小川 正樹
秋田大学医学部生殖発達医学講座産婦人科分野
-
田中 俊誠
秋田大学医学部生殖発達医学講座産婦人科分野
-
平野 秀人
秋田大学
-
津田 晃
秋田大学医学部産科婦人科
-
平野 秀人
秋田大学医学部産科婦人科
-
磯部 京悦
公立横手病院産婦人科
-
池上 俊哉
山本組合総合病院産婦人科
-
平野 秀人
神戸大学 大学院医学研究科外科系講座産科婦人科学分野
-
平野 秀人
秋田大学医学部附属病院 産科婦人科
-
磯部 京悦
秋田大学医学部産婦人科学教室
-
磯部 京悦
公立横手病院
-
池上 俊哉
鹿角組合総合病院 産婦人科
-
田中 俊誠
秋田大学医学部
-
池上 俊哉
山本組合総合病院
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