ブタ卵巣から抽出したLuteinizing Hormone Releasing Hormone(LHRH)
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概要
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卵巣にはluteinizing hormone releasing hormone (LHRH) receptorが存在し, LHRHの卵巣直接作用も証明され, 生理的にも卵巣由来のLHRH様物質が存在して, 卵胞発育に関与していることが示唆されている. 本研究ではブタ卵巣から本物質の抽出分離を試みた. 抽出方法は, 成熟ブタを屠殺後ただちに100個の卵巣を採取して, ethanol-chloroform-acetic acid-H_2O液にてhomogenizeし, 3,000×g遠沈し, 上清をether洗浄後, dry charcoalによる吸着後凍結乾燥し, 粗抽出液とした. さらにSpectrapore no.3 membrane (mol wt cutoff, 3,500)にて2日間透析した. 家兎抗LHRH血清を用いた免疫学的交叉反応をRIAで調べたところ粗抽出液は抗LHRH抗体とは交叉反応を示さず, 免疫学的にnative LHRHとは異なるものであった. LHRH receptor結合能は, ラット下垂体でradioligandとして^<125>I-LHRH agonist (S.A.800〜1,000μCi/mg)を用い, その競合的結合で検討した. 粗抽出液の透析内液では, ラット下垂体LHRH receptorと^<125>I-LHRH agonistとの結合を競合的に抑制を示し, 2.6 millifragment (1 fragment⇒ブタ卵巣1個相当)相当で結合を抑制した. しかし透析外液においてはその結合は抑制されなかった. 酵素処理ラット下垂体dispersed cellの培養実験で生物活性を調べると, 透析外液添加では培養液中のLH値は変化しないが, 透析内液添加ではLHの上昇がみられた. 透析内液をSephadex G75 Gel filtrationを行い, 各fractionをradioreceptor assay (RRA)にてその結合能をみると, native LHRHの分子量とは異なるfractionで活性が認められ, その分子量は, 29,000〜12,400と12,400〜3,500と推測された. 以上よりこの物質は下垂体LHRH receptorと競合して作用するが, 分子量, 免疫学的反応性はnative LHRHと異なることを示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1997-09-01
著者
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