体外受精・胚移植周期におけるfree steroid hormoneの変動と妊娠の成立との関係について
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概要
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体外受精・胚移植(IVF-ET)について数多くの報告がみられるが, steroid hormoneのうち生物学的活性を示すfree estradiol (free E_2), free progesterone (free P_4)について検討した報告は認められない. そこでIVF-ETを施行した症例について, 卵胞後期から黄体期にかけて経腔超音波断層法で子宮内膜を観察するとともに, 血中E_2, P_4, %free E_2, %free P_4およびfree E_2, free P_4を測定し, 妊娠の成立に与える影響を検討した. 卵管因子の適応でIVF-ETを施行した妊娠例8例と非妊娠例9例を検討対象とし, 非妊娠例は最終的には妊娠に至った症例に限定した. その結果, 黄体期のE_2, P_4は非妊娠例に比較して妊娠例はDay 14 (Day 0 : hCG投与日)から高値を示していたのに対して, free E_2, free P_4は非妊娠例に比べて妊娠例はDay 11から高値を示す傾向にあり, 妊娠がより早期に判明する可能性が示唆された. 一方, 子宮内膜のhyperechoic endometrial area ratioは, Day -2からDay 2の期間に妊娠例は非妊娠例よりも有意に増加しており, 妊娠例の子宮内膜は非妊娠例よりも過剰成熟の傾向を示した. Day -2からDay 2までE_2, P_4には妊娠例と非妊娠例に差を認めなかったが, %free P_4は非妊娠例の2%弱に対して妊娠例では2.5%前後であり, 非妊娠例に比較してDay 1とDay 2には高値を示す傾向にあり, Day 8からは有意に高値を示していた. また, 妊娠例の%free P_4は, Day -2に比較してDay 17は有意に高値を示していた. これらのことから%free P_4は, 子宮内膜の過剰成熟に関連し, 受精卵の着床および妊娠の継続に重要な働きを担っていることが示唆された.
- 1996-11-01
著者
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