Prolactinの産褥期視床下部 下垂体 卵巣系に及ぼす影響について
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概要
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妊娠,産褥期における血中Prolactin(PRL)を中心に各種ホルモンの動態を分析し,産褥期の視床下部一下垂体一卵巣系の回復機序にPRL分泌抑制作用を有するbromocrlptine(Br)が褥婦内分泌動態に如何に影響を与えるか検討を加え,以下の結論を得た.(1)妊娠時,PRLは妊娠9ヵ月迄上昇し,10ヵ月にやや低下する.産褥第3日よりPRLは急激に低下し第5日で分娩直後より有意の低値を示した.(2)産褥期PRLが非妊時レベルに回復するのに授乳群王3週,非授乳群4週,Br投与群2日を要したが,その後も授乳群のレベルは正常上限を示し,非授乳群,Br投与群より高値傾向を示した.授乳刺激によるPRLの増加は30分〜60分後にピークを示し,120分後に前値に復し,LH,FSHは変動をみなかった.(3)授乳刺激によるPRLの有意な増加は,授乳群では産褥第19週以降,非授乳群では産褥第10週以降に消失した.また,産褥第2週に於て,Br投与群ではPRL前値は低値を示すにもかかわらず授乳刺激により有意の増加を示した.(4)産褥LH,FSHは,授乳群,非授乳群共に有意差は認めたいにもかかわらず,E。は産褥第15週まで低PRLの非授乳群が高PRLの授乳群より高値を示す傾向が認められた.(5)Br投与群のLH,FSHは授乳群に比し,産褥第2週では有意に高値を示し,LH-RHTestに対し授乳群では無反応であるのに対し,Br投与群では反応性を有した.(6)産褥初発排卵は,授乳群142.9±22.0日,非授乳群81.7±17.2日,Br投与群では54.7±5.5日でPRL値が早期に正常レベルに戻る群ほど早期に初発排卵が生じた.以上より産褥期の高PRL血症は,視床下部一下垂体系に抑制的に作用すると共に卵巣に対するゴナドトロピンの作用にも抑制的に働き産褥期無排卵状態を惹起すると推定される.また,産褥初発排卵にはPRL値の低下がまず前提となることが判明した。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-04-01
著者
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