正常妊婦の妊娠中及び分娩周辺期におけるindex-F,index Δ^4Pの推移について
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概要
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妊娠第3ヵ月から第10ヵ月の正常妊婦(n=5)につき,cortisolあるいはprogesteroneの活性型の1指標として蛋白非結合(free)型,及び非特異蛋白結合型をあわせ,cortisolではindex F,progester oneではindex-△^4Pとして測定した.さらに正常分娩例10例につき,分娩前4週目から,分娩時,産褥5日目まで連続採血したもの,及び勝帯静脈血についても検討し,以下の結果を得た.妊娠中,index Fはしだいに増加し,非妊時21.9±10.9ng/ml(mean±SD)であったものが,妊娠第10ヵ月には約1.5倍の32.4±4.3となった.これはcortisolの増加率に比較すると,約1/2の増加率であり,妊娠中のcortisolの過剰が,corticosteroid-bindingglobulin(CBG:cortisol,progesteroneと特異結合すると言われている)により緩衝されている可能性を示唆した.分娩周辺期のindex Fは分娩前はほとんど変化なく,分娩時にはストレスによると考えられる増加を示したが,その増加率はcortisolと同程度であり,短時間での増減はcortisolとほぼ同様に動くと考えられた.勝帯静脈血中のcortisol(86±30ng/ml)は分娩前母体血(160〜175)に比して低値(約1/2)であるにもかかわらず,index F(49.2±12.7)は分娩前母体血(32〜38)の約1.5倍となり,ストレスに対する反応や胎児の肺成熟たどについて合目的であると考えられた.妊娠中のindex△^4Pはほぼprogester oneと同様の増加傾向を示し,妊娠第10ヵ月(335.9±43,3ng/ml)には妊娠第3ヵ月(74.2±13.4)の約4.5倍どたり,妊娠維持にとって好都合と考えられた.分娩周辺期のindex△^4Pもprogesteroneと同様,分娩までほとんど一定で,分娩に先だって低下する傾向等は認められなかった.膀帯静脈血中のprogesterone,index△^4Pとも母体血に比し非常に高値であったが,この意義については今後の検討が必要である.
- 1984-04-01
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