子宮筋腫におけるエストロゲンレセプター濃度 RNA合成能 蛋白合成能の関連性について
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概要
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予宮筋腫の増殖には,臨床的には estrogenが深く関わっていることが認められている。そこで,子宮筋腫におけるestrogenの増殖誘導機構を解明するために,子宮筋腫のestrogen receptor濃度・RNA合成能・蛋白合成能を測定し,それぞれの相関性を求めると同時に,子宮筋腫の発生母体と考えられている子宮筋層におけるそれらの値との比較検討を行った.estrogen receptorの測定には12nMの3H estradiolを加えて,4℃で12時間incubateしdextran coated charcoal法により行った.さらに,測定しているestrogen receptorは8Sおよび4.1Sであることを確認した.また解離定数は,10^<-9>〜10^<-10>Mであった.RNA合成能および蛋白合成能の測定には,新鮮なスライス組織に3H-uridineと14C leucineを加えて37℃で3時間incubateした.その後スライス組織を5%トリクロル酢酸中でhomogenizeし,その酸不溶性画分を洗浄し水酸化ナトリウムに溶解してその放射活性を測定した.統計処理に際し,同一子宮内にある複数の筋腫核はその平均値を代表値として,筋腫と筋層との比較ではpairedtestを行った.以上の方法により次のことが判明した.1)estrogen receptor濃度は筋層よりも筋腫の方が有意に高値を示していた(p<0.01)が,RNA合成能と蛋白合成能は有意養はなかった.2)同一子宮での筋腫と筋層のestrogen receptor濃度は正の相関が認められ,RNA合成能と蛋白合成能についても正の相関が認められた(p<0.01).3)筋腫においてesrogen receptor濃度とRNA合成能,estrogen receptor濃度と蛋白合成能との間には,相関性は認められなかったが,RNA合成能と蛋白合成能との間には正の相関が認められた(p<0.05).
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-02-01
著者
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