脱血によるラット副腎adenosine 3',5'-monophosphate値および血中corticosteroids濃度の変化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
出血というストレスにさらされた時の副腎機能を検索する目的で,成熟雄ラットを用い,pentobarbital麻酔後体重当り2.6%の血液を急速に脱血した.脱血後一定時間後に開腹し,副腎を摘出して副腎adenosine 3',5'-monophosphate (cyclic AMP)を測定し,同時に血中corticosteroneを測定して,次の成績を得た. 1. 副腎cyclic AMPはcompetitive protein binding assay(CPB法)によつて測定し,再現性試験は標準偏差1.8,変異係数12.1%であつた.精度は純品10p mol添加後,標準偏差0.8,変異係数5.1%,20P mol添加後では2.6, 9.3%であつた. 2. 血中corticosteroneはCPB法によつて測定し,再現性試験は標準偏差1.7,変異係数13.6%であつた.精度は純品2ng添加後,標準偏差0.5,変異係数19.2%,4ng添加後では1.0, 18.5%であつた. 3. pentobarbital麻酔の副腎cyclic AMP値は麻酔後30分値が最も低く,偏差も小さかつた. 4.脱血前値は,副腎cyclic AMP値は平均0.6±0.06n mol/g(5例)であり,血中corticosterone濃度は平均18.1±0.8μg/100ml(101例)であつた. 5. 脱血によつて血中corticosterone濃度は,脱血後10分まで一時有意に減少し,10分後から上昇しているが,副腎cyclic AMP値は脱血後からすでに有意の増加がみられる. 6. 副腎cyclic AMP値の増加は,脱血前と脱血2分,5分と10分,30分と40分で,それぞれの前時間値との間に有意の増加を認め,40分で234.3±49.9n mol/gのピークを形成し,以後減少している. 7. 血中corticosterone値は,脱血後一時減少した後,10分と20分,40分と50分で,それぞれの前時間値との間に有意の増加を認め,50分では78.2±5.7μg/100mlのピークを形成し,以後減少している. 8. 脱血後10分からの副腎cyclic AMP値と血中corticosterone濃度の変動は,10分間のtime lagで,ほぼ同様の変動パターンを示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1976-06-01
著者
関連論文
- 乏血量性ショックに関する基礎的ならびに臨床的研究
- 123. プレオマイシン投与による外陰部癌の治療 ( 第III群 悪性腫瘍)
- 5.母乳中PregnanediolのGas Chromatographyを用いた定量法について(第1群ホルモンI)
- 86. 不妊症に対する Metharmon-F の内分泌的検討と臨床成績
- 29. 排卵を中心とした血中luteinizing hormone(LH)と血中progesteroneの変動に関する研究
- ガスクロマトグラフィーによる尿中 Estrogen 定量に関する研究
- 3 子宮頸癌患者の年齢分布と悪性HPV感染の検討
- 妊娠後期に発症した膵炎
- 脱血によるラット副腎adenosine 3',5'-monophosphate値および血中corticosteroids濃度の変化
- 95. 産婦人科領域における手術および出血性ショックの酸・塩基平衡,循環動態に関する研究
- 30. 心手術後の分娩 ( 第I群 産科領域)
- 薬物性無痛分娩の実施経験