糖負荷試験よりみた肥満妊婦におけるインスリン抵抗性に関する研究
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概要
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妊娠中に75g oral glucose tolerance test (OGTT)を施行し, 同時にimmunoreactive insulin (IRI)を測定した妊婦80例を対象として, 非妊時の body mass index (BMI)が24kg/m^2以上を肥満群, 24kg/m^2未満を非肥満群とした. 耐糖能正常妊婦62例についての検討では, 肥満群と非肥満群とで空腹時の血糖値, 負荷後180分間の血糖総和面積 (BS-AUC値)および空腹時血糖値を差し引いた増加分の血糖総和面積 (ΔBS-AUC値)に差を認めなかったが, 空腹時IRI値, 負荷後180分間の分泌総和面積 (IRI-AUC値)および空腹時IRI値を差し引いた増加分のIRI分泌総和面積 (ΔIRI-AUC値)は肥満群の方が高値であった (p<0.01, p<0.05およびp<0.03). 耐糖能異常妊婦18例での検討では空腹時のIRI値のみが肥満群で高値であった (p<0.05). 全例における空腹時IRI値は空腹時血糖値, BS-AUC値および IRI-AUC値との間にいずれも有意な相関を認めた (それぞれp<0.0003, p<0.0001およびp<0.0001). さらに, 空腹時IRI値は非妊時のBMIとの間にも有意な相関を認めた (p<0.0001). ΔIRI/ΔBS (30)および ΔIRI-AUC/ΔBS-AUCは耐糖能正常および異常のいずれについても肥満群と非肥満群とに差を認めなかったが, 耐糖能異常を伴った肥満群は, 耐糖能正常な肥満群および非肥満群に比べて ΔIRI/ΔBS が低値であった (p<0.05およびp<0.05). 以上より, 肥満妊婦では耐糖能異常の有無に関係なく, 高インスリン血症が認められ, インスリン抵抗性の存在も示唆された. さらに, 肥満とインスリン分泌能との関連は認めなかったが, 肥満を伴った耐糖能異常妊婦においては, 糖負荷に対する早期のインスリン分泌能の低下が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1995-04-01
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