卵巣癌におけるCA125免疫組織染色の意義

概要

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CA125は子宮内膜症や腹膜炎などの良性増殖性変化においても産生・分泌されるため, 血清CA125高値の臨床的評価には注意を要する. そこで, 悪性卵巣腫瘍において, 原発巣でのCA125免疫組織染色と, 血情CA125・腹水中CA125・腹水量の測定を行いCA125免疫組織染色の臨床的意義を考察した. 1. 悪性卵巣腫瘍59例の原発巣におけるCA125免疫組織染色陽性率は49%であり, 従来の報告と同様の結果であった. 2. CA125免疫組織染色陽性群において, 血情CA125は3,309±5,854U/ml, 腹水中CA125は23,621±31,541U/mlであった. CA125免疫組織染色陰性群では血清CA125は264±356U/ml, 腹水中CA125は1,919±2,315U/mlであり, 血清CA125, 腹水中CA125共に陽性群が高い傾向を示した(T-test: p<0.05, p<0.05). 3. 進行期別血清CA125の比較では, CA125免疫組織染色陽性群・陰性群共に, 進行期が進むにつれ高くなる傾向が認められた(ANOVA: p<0.05, p<0.05). 4. 血情CA125と腹水量との相関は, CA125免疫組織染色陽性群では, Y=1.02X+0.38, r=0.90, r^2=0.81(p<0.0001)であり, CA125免疫組織染色陰性群では, Y=0.34X+1.35, r=0.51, r^2=0.26(p<0.05)と正の相関がみられた. 以上の結果より, 血清CA125の上昇は原発巣におけるCA125だけではなく, 腹膜中皮より産生されたCA125が関与している可能性が示唆された. また, CA125をfollow-up markerとするにはCA125免疫組織染色を行うべきであり, 陽性群におけるCA125の上昇は腫瘍の増殖性変化を, 陰性群におけるCA125の上昇は腹水の貯留や腹膜播種に伴う癌性腹膜炎の病態を反映していると考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1994-09-01

卵巣癌におけるCA125免疫組織染色の意義

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