超音波断層法からみた低置胎盤とその臨床的意義に関する検討

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低置胎盤はPROM, 早産, 妊娠・分娩時の異常出血が多いとされるがどの程度下方に位置した胎盤か用語上明確にされていない. そこで超音波断層法により胎盤と内子宮口の距離を計測し胎盤付着部位と産科異常との関係を検討, 低置胎盤の診断と臨床的意義を明らかにした. 1. 妊娠経過中に***出血などの異常な臨床症状を認めない妊婦の胎盤付着部位胎盤下縁から内子宮口までの距離が 1)2cm以下である症例は妊娠28週以降で, 3cm以下である症例は妊娠32週以降でそれぞれ373例及び276例中1例もなかった. 2)妊娠36週以降では97.1%において5cm以上であった. 2. 低置胎盤と妊娠・分娩の予後胎盤下縁から内子宮口までの距離が2cm以下に付着する胎盤を低置胎盤, 2.1cm以上離れた位置に付着する胎盤を正常位胎盤とすると1)低置胎盤の頻度は妊娠20≦〜<24週で2.8%(49/1,771), 妊娠29週未満まで低置胎盤であったのは0.96%(17/1,771), 分娩前1週以内まで低置胎盤を持続したのは0.73%(13/1,771)であった. 2)分娩前1週以内まで低置胎盤と診断された症例(13例)はそれまでに正常位胎盤とされた症例(1,749例)に比べ妊娠時***出血, 早産, PROM, 分娩時異常出血, 緊急帝王切開が有意に高かった(p<0.05〜0.01). 3)分娩前1週以内まで低置胎盤であった13例のうち8例が帝切, 5例が経腔分娩となった. 帝切8例のうち5例は分娩第1期の異常出血がその適応で, 経腔分娩となった5例のうち2例は1,200g以上の分娩第3期異常出血となった. すなわち, 13例中7例(53.8%)が分娩時異常出血に由来する緊急処置を受けた. 以上より, 胎盤下縁と内子宮口の距離が2cm以下に付着する胎盤は単に統計的に位置異常であるばかりでなく産科臨床上においても明らかにハイリスクグループであり, 低置胎盤の診断と臨床的意義がここにあると考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1993-10-01

超音波断層法からみた低置胎盤とその臨床的意義に関する検討

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