Gonadotropin-releasing hormone analog併用卵巣刺激周期における卵胞期血中progesterone上昇と体外受精・胚移植成績
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Gonadotropin-releasing hormone analog (GnRHa) 併用卵巣刺激周期において卵胞期の血中progesterone上昇 (P上昇) の発生機構を検討し, 同時にP上昇が体外受精・胚移植 (IVF-ET) の治療成績に及ぼす影響を明らかにしようとした. 対象は1989年5月から1991年12月までにIVF-ETを施行した77症例158周期であり, その内訳は, GnRHaとhMGを用いたshort regimen (SR) 44症例64周期とlong regimen (LR) 46症例78周期, そしてGnRHaとpure FSHを用いたpure regimen (PR) 16症例16周期であつた. 経腔超音波断層法による卵胞径計測と, 血中estradiol (E2), P, LHの測定により卵胞発育モニタリングを行つた. 刺激周期の卵胞期血中P値が1.0ng/mlを越えるP上昇周期とP非上昇周期に分け, 各種卵巣刺激法におけるP上昇周期の頻度と, 血中LHレベルおよびE2の分泌動態ならびにIVF-ET成績を解析した. P上昇周期とP非上昇周期の間で血中LHレベルに差を認めなかつたが, いずれの卵巣刺激法においてもP上昇は高頻度に認められた (対周期あたりSR : 26.6%, LR : 15.4%, PR : 18.8%). P上昇周期において血中E2は高値となり, 採取卵数は有意に増加した (p<0.05) が, 成熟卵の割合と受精率はP非上昇周期に比して有意に低下した (p<0.05). 妊娠継続症例12例のうち, 10例はP非上昇周期に発生した. 以上の成績から, 卵巣刺激周期において卵胞期の血中P上昇は内因性LH分泌やゴナドトロピン刺激とは無関係におこること, 発育卵胞数の増加によるE2産生過剰がその誘因となることが示された. 同時に, P上昇は卵の質の低下を招き, 受精ならびにIVF-ET成績に悪影響を及ぼすことが明らかとなつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-03-01
著者
関連論文
- 分娩監視装置導入前後12年間における周産期諸統計量ならびに脳性小児麻痺児発生率の検討
- 82 胚発生とDNA・RNA合成能を指標としたパルス超音波照射の初期胚に及ぼす影響
- 81 受精卵凍結融解後の胚の膜機能に関する研究
- 265 上皮成長因子の初期胚DNA合成に及ぼす促進効果
- 128 IVF-ETにおける精子処理法としての3層Percoll密度勾配法の有用性に関する検討
- 117 受精卵凍結融解後のcell viability評価
- 96 卵巣刺激周期における卵胞期血中プロゲステロン動態とその卵成熟、受精分割および妊娠予後に及ぼす影響
- 68 GnRH analog(GnRHa)併用卵巣刺激周期における血中ホルモン動態の解析
- 137 体外受精・胚移植(IVF-ET)プログラムにおけるGnRH analog(GnRHa)併用の有用性と問題点に関する研究
- 449 パルス超音波照射のマウス初期胚に及ぼす影響
- 体外受精・胚移植のための超音波採卵の総合的評価 : 経腹および経腟採卵の比較検討から
- P-247 多嚢胞性卵巣に対する卵胞穿刺術の排卵誘発機序
- P-153 重症男性不妊における透明帯部分開孔術(PZD)の有用性に関する基礎検討
- 185 胎動と一過性心拍数増加の時間的検討
- Gonadotropin-releasing hormone analog併用卵巣刺激周期における卵胞期血中progesterone上昇と体外受精・胚移植成績
- 292 卵巣刺激周期における卵胞期血中progesterone値とembryo qualityとの関連性
- 6.R-AFS分類に基ずく子宮内膜症進行度と各種自己抗体との関連性及びこれらに対するダナゾール療法の効果について