閉経後の骨塩量減少に及ぼすHRTの阻止効果について
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概要
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閉経後の骨脱灰に対するHRTの阻止効果を調べる目的で, 結合型エストロゲン0.625mg/day及びノルエチステロン10mg/dayによるHRTを, 閉経後女性に5年間継続して行い, 投与前後の骨塩量をMD法で測定した. 対象者の内訳は次のようである. I群 : 新たにHRTを開始した群(52例) II群 : 既に5年間以上HRTを行つていて, 今回更に5年間のHRTを追加した群(34例) C(コントロール)群 : 5年間無治療で経過をみた群(26例) C群では5年間に, ΣGS/Dの平均値は2.465から2.209へと有意に(p<0.005)減少した. 一方I群では, ΣGS/Dの平均値は2.462から2.532に, II群では2.536から2.539に変化し, いずれも有意に(p<0.005)増加した. 個々の例について, 最初の骨塩量を100%として5年後の骨塩量を計算すると, C群では平均90.72%で9.28%減少したが, I群では平均102.91%, II群では100.26%となり, 両群共に骨塩量の平均値は増加した. I群とII群の増加率には有意差(p<0.005)が認められたが, その原因がHRTの長期継続による本質的な傾向であるのか, あるいは対象者の生活習慣などの要因が関係しているのかは, 明らかにできなかつた. これらの結果から, HRTは閉経後の骨脱灰に対して, 顕著な阻止効果のあることが認められた. また10年間以上HRTを継続したII群では, 効果がやや劣つたが, 無治療の場合に比べれば遙かに有利な結果であつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-05-01
著者
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