ヒト精子のZona induced acrosome reactionに与える頚管粘液の効果

概要

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ヒト精子のzona induced acrosome reactionの存在について調べるとともに, 頚管粘液のacrosome reactionに与える影響についても検討した。Percoll法とswim up法を併用して回収された精子のacrosome reaction発現を, 精子だけ6時間培養したときとsalt stored human eggとともに培養したときについて, FITC labelled PSA染色法を用いて比較検討した。さらに, 頚管粘液を通過させた精子についても同様の検討を行った。1. Human eggの透明帯に付着した精子のうちacrosome reacted sperm (zona induced acrosome reaction) は35.7±17.7%で, この割合はspontaneous acrosome reactionの2.8±1.9%に比べ有意に高値であった。2. 頚管粘液を通過した精子のacrosome reacted spermの割合は非通過精子のそれと差を認めなかった (3.5±2.6% : 2.6±2.0%)。3. 頚管粘液通過精子のzona induced acrosome reactionは51.6±6.8%で, 非通過精子の25.6±9.4%に比べ有意に高値であった。以上の成績から, ヒト精子にも他の哺乳動物と同様にzona induced acrosome reactionが存在することが確認された。頚管粘液はacrosome reactionを誘発することはないが, その後のzona induced acrosome reactionが増加することからcapacitationを促進することが示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1992-03-01