体外受精-胚移植における子宮外妊娠発生に関与する因子の検討

概要

論文の詳細を見る
子宮外妊娠は, 体外受精-胚移植における重要な合併症の一つに挙げられている。しかしながら, その発生を予測しうる因子に関しては明らかではない。今回, 5年間の当科IVF programにおける子宮外妊娠例を検討し, その発生を予測しうる因子につき検討を加えた。1985年より1989年までの5年間の採卵施行581例中妊娠成立は75例で, そのうちの5例 (6.7%) が子宮外妊娠であった。5例のIVFの適応はいずれも卵管因子で, 子宮卵管造影では卵管溜水腫4例であった。5年間の妊娠成立症例のうち適応が卵管因子のものは70例あり, そのうち卵管溜水腫のあったものは30例, なかったものが40例であり, 卵管溜水腫例での子宮外妊娠発生率13.3%に対し, 卵管溜水腫を持たない症例での発生率は2.5%であった。しかしながら両者の間に有意差は認められなかった。卵胞刺激法は, clomiphen+hMG 2例, pure FSH 1例, hMG 3例で, 投与量は正常妊娠例と差を認めなかった。採卵法は腹腔鏡2例, 経腟超音波下採卵3例, 採卵数は4.2±0.8個であった。胚移植は受精後48時間で行い, 移植胚数は2〜5個 (3.4±0.5), stageは2〜8 cells, 使用培養液量は30〜100μlで, いずれも正常妊娠例と差を認めなかった。ET後7日目の血清estradiol値 (132±127 pg/ml), progesterone値 (91.1±25.9 ng/ml) は, いずれも正常妊娠, 及び流産例と比較して低値ではあったが有意差は認められなかった。以上のように, 子宮外妊娠5例の検討においては, 正常妊娠例と明らかな差異は認められなかったが, 病的卵管, 特に卵管溜水腫が, 子宮外妊娠の発生要因の一つである可能性が推測された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1991-11-01

体外受精-胚移植における子宮外妊娠発生に関与する因子の検討

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク