未熟ラット卵巣中のcollagenolytic enzyme活性へのRU486の作用
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概要
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排卵性のLHサージから卵胞破裂までの過程, いわゆる排卵現象におけるcollagenolytic enzymesとprogesterone (P) の関係を, Pの競合的阻害剤であるRU486 (RU)を使用して検討した. collagenolytic enzymesとしてはBANA hydrolaseおよびDNP peptidase活性を合成基質を用いて測定した. PMS処置を行った未熟Wistar系雌性ラット(生後22日)に, hCGのみを投与した群を対照とし, hCG 投与時にRU(10mg/kg)を併用投与した群の, それぞれhCG投与後0, 2, 4, 6, 7, 8, 9, 10, 12時間目の酵素活性値を測定した. 次にP (10mg/kg)をhCGおよびRU投与後0, 2, 4, 6, 7, 8時間目に投与し, 9時間後の酵素活性値を測定した. さらにPをhCG, RU投与後4時間目に投与した場合の酵素活性を経時的に測定した. 対照群においては, BANA hydrolaseではhCG投与後8〜9時間目に酵素活性が有意に上昇し, 10時間後では急速に低下した. またDNP peptidaseはhCG投与後7〜10時間目で酵素活性は上昇してピークに達したのち, 12時間目には低下した. すなわち, 両酵素活性は, 排卵前に有意の上昇を示したが, この上昇はRUをhCGと同時に投与することにより完全に抑制された. さらにhCG, RUにPを投与した群では, hCG投与後4時間目にPを投与した場合が, 酵素活性の回復は最高を示しており, この活性値は対照群と同レベルにまで回復していた. 以上の実験結果から, LH刺激により増加するPがcollagenolytic enzyme活性の亢進を介して卵胞破裂機構に不可欠な役割を果たすものであることが明らかになり, しかも, 排卵現象におけるPは, LHサージ後4時間を中心にしてその役割を演じていることが示された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-02-01
著者
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