胎児の発育とMモード心エコー法による心機能の解析 : 心室壁の発育と運動を中心として
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概要
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妊娠24週から41週までの妊娠週数の明確な正常妊婦のAFD胎児215例について, 妊娠週数と心室壁の発育および運動について検討し, 以下のような結果を得た. (1) 妊娠週数と右室前壁拡張終期壁厚(RVAWTd), 心室中隔拡張終期壁厚(IVSWTd), 左室後壁拡張終期壁厚(LVPWTd)との関係は, それぞれ有意の正の相関がみられ, 妊娠週数がすすむにつれて, 壁厚は直線的に増加することがわかった. (2) 各妊娠週数における右室前壁拡張終期壁厚(RVAWTd), 心室中隔拡張終期壁厚(IVSWTd), 左室後壁拡張終期壁厚(LVPWTd)との間には有意差は認められず, 心室壁は, 1 : 1 : 1の関係をもって発育していることがわかった. (3) 右室前壁収縮期壁厚増加率(%ΔThaw), 心室中隔収縮期壁厚増加率(%ΔThivs), 左室後壁収縮期壁厚増加率(%ΔThpw)は妊娠24週から41週までの間にすべて変動があるものの, ほぼ一定の値を示した. また, それぞれの増加率の平均値はそれぞれ41±16%, 39±24%, 68±37%であった. (4) 右室前壁振幅(AWE), 左室後壁振幅(PWE)と妊娠週数の間にはそれぞれ相関係数r=0.61, 0.67と有意の相関を示した. (5) 収縮期に左室後壁側に動く心室中隔のL型運動は62%であった. これは成人におけるL型の動きが正常な心臓の全例にみられるのに対して低く, 胎児の心室中隔が成人ほど左室の収縮に関与していないことが示唆された. (6) 右室前壁/左室後壁振幅比(AWE/PWE)と心室中隔振幅(IVSE)との間には直線相関が認められ, 心室中隔運動と心室自由壁運動が密接に関係していることが推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-07-01
著者
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