進行卵巣癌の予後におよぼす因子の解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
III期以上の進行卵巣癌患者68例を治療後3年未満で死亡した症例 (死亡例) 49例と3年以上生存した症例 (生存例) 19例に分け, 両者の背景因子の相違を検討することにより卵巣癌の予後に影響をおよぼす因子について解析するとともに, 死亡例について生存期間に影響をあたえる因子について検討した。1. 死亡例と生存例の両者間で比較すると, 初診時年齢, PS, 臨床進行期, 組織型, 手術術式, PAC 療法施行回数, 放射線療法の有無, 腹水量, 腹膜播種の程度および治療前CA125値には有意差を認めなかった。しかし, 後腹膜リンパ節転移は死亡例で有意に多く (p<0.05), CA125低下率は生存例で有意に高値を示した (p<0.05)。また, 治療後も肝に転移を認める症例はすべて3年以内に死亡した。2. 死亡例について生存期間に影響を与える因子について検討した結果は以下のごとくである。すなわち, 年齢による影響は認めず, 手術完遂度や治療前PSと生存期間はよく相関した。とくに, 残存腫瘍が2 cm未満の不完全手術例ではムチン性嚢胞腺癌の生存期間が短く, 類内膜癌の生存期間は長かったが, これは主に再発してから死亡するまでの期間に左右された。腹膜播種の程度と生存期間は反比例するが, 2,000 ml未満の腹水であれば予後は比較的良好であった。以上より, 進行卵巣癌で予後を不良にしている因子として, (1) PSの進んだ症例, (2) 手術完遂度の低い症例, (3) 腹水量2,000 ml以上の症例, (4) 腹膜播種の高度な症例, (5) 肝に転移のある症例, (6) 後腹膜リンパ節転移のある症例, (7) 組織型がムチン性嚢胞腺癌の症例, (8) CA125低下率の低い症例, が指摘された。以上の (1) から (6) まではより早期の卵巣癌を発見する以外に予後の改善は望めない。(7) と (8) に関しては治療法の個別化が必要であり, 現在の治療法では限界がある。
- 1989-05-01
論文 | ランダム
- ナマコ体壁の力学的性質の変化(生理学)
- ナマコ及びクルマエビによるコバルトのとり込みと排出〔英文〕
- マナマコ縦走筋の収縮調節系(生化学)
- ナマコ縦走筋の収縮調節系(生化学)
- ナマコ放射縦走筋におけるCa局在と筋収縮時の移動(生理学)