陣痛発来機序における羊水中カテコラミン動態の意義
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概要
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陣痛発来機序を解明する目的で, ヒト羊水中のカテコラミン (CAs), すなわち, ドパミン (DA), ノルエピネフリン (NE), エピネフリン (E) が, 陣痛発来にどのように, かかわっているかを検討した。妊婦 (妊娠16週〜41週) 24名より羊水を採取し, 高速液体クロマトグラフィー (HPLC) と, 電気化学検出器 (electro-chemical detecter) を組み合わせたLC-EC法により, 羊水中のCAsの濃度を測定した。また, 正常分娩後の娩出羊膜切片を用いてCAsを添加し, 培養液中に放出されるプロスタグランジン (PGE, PGF_<2α>) の濃度をRIA法にて測定し, 以下のような成績を得た。1. 羊水中DA濃度は妊娠週数とともに, 増加傾向を示した。2. 羊水中CAsは, 陣痛未発来群で, NE: 592 pg/ml, DA: 555 pg/ml (mean) であり, 陣痛既発来群で各々, 952 pg/ml, 1,011 pg/mlと, NE, DAともに, 陣痛既発来群において増加傾向を示した。Eについては測定感度以下のものが多かった。3. 羊膜におけるCAs添加実験では, 培養液中へのPGF_<2α>分泌量はPGE分泌量の1/5〜1/6の量を呈した。4. しかし, incubation time 30分値で, CAs添加群はcontrol群 (培養液のみ) に比し, PGE分泌量は, やや増加傾向を示したのに対し, PGF_<2α>分泌量は有意の増加を示した。以上の結果より, 陣痛発来機序に羊水中のCAsが何らかの役割を果たしているのではないかと推測された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-04-01
著者
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