エアロジェルを発光体としたRICH検出器の開発
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概要
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陽子のスピン1/2は,その構成要素であるクォークのスピンからどのように理解できるのか?この素朴で基本的な問いかけに答えるために,高エネルギー偏極電子ビームと偏極標的を用いた深非弾性散乱実験が行われてきた.ここで,散乱に伴って生成されるハドロン粒子の粒子識別をも行って情報量を増やせば,クォークのフレーバーごとに陽子スピンに対する寄与を調べたり,陽子内に存在するグルーオンの寄与を調べることができる.その粒子識別に力を発揮するのが,荷電粒子が媒質中の光速より速く進むときに円錐状に放射される光(チェレンコフ光)を検出して粒子の速さを測定する,リングイメージングチェレンコフ検出器(Ring Imaging CHerenkov counter : RICH)である.今回,固体・液体と気体の中間の屈折率(n=1.03)を持つシリカエアロジェルとC_4F_<10>ガス(n=1.0014)の2種類の物質を発光体としたRICHを開発し,2〜20GeV/cの運動量領域でのπ/K中間子や陽子・反陽子の識別を可能にした.この実験技術の開発と現状に関して報告する.
- 社団法人日本物理学会の論文
- 2001-01-05