生態学における格子モデル
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
動物・植物の野外での動態, 分布, 共存, 進化などは空間構造は無視して個体数の微分方程式にもとづいて論じられてきた. しかし繁殖や競争などの相互作用が集団全体よりも遙かに小さいために, 生物固体の分布はランダムではなく塊をつくる傾向がある. ここでは, [1]亜高山帯林で樹木が多数の縞状に枯れて波状パターンを描く現象, [2]パナマの熱帯季節林の林冠ギャップ動態, [3]病気による宿主植物の絶滅, [4]毒をつくって戦うバクテリアを取り上げて, 空間構造を無視した平均場近似では間違った結果がえられることを示す. また解析手段としてペア近似を紹介する. 同様な格子モデルの力学は, 統計物理学の相転移現象の研究者によって調べられてきた.
- 社団法人日本物理学会の論文
- 1998-05-05