クェーサーのブラックホール模型
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概要
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クェーサー発見以来の歴史的背景と, 数多くの観測データに基づくその性質を簡単に紹介する. クェーサーはすでにみつかっていた電波源のうち, 非常に大きな赤方偏移を示す線スペクトルを持つ青い星状の天体として発見されたが, 後にその多くは赤外線も強いことがわかった. 短波長と共に赤外線も強いのは, 連続スペクトルが「パワー型」であるためとわかった. 大きな赤方偏移の原因としては宇宙膨張によるドップラー効果が一番自然のようである. そうすると赤方偏移が大きい程遠くなるので, クェーサーは莫大なエネルギーを放出していることになる. 特に強度変化の時間, VLBI電波観測等から, 光源が非常に小さいことが示されている. そのような莫大なエネルギー源を非常に狭い空間に閉じ込める機構として, 最も自然と思われるのは, 超大質量ブラックホールの存在である. その理由を簡単に説明し, ブラックホール模型の現状を紹介する. 最後に今後に残された未解決の問題を指摘する.
- 社団法人日本物理学会の論文
- 1979-06-05