発育に伴うラット骨格筋筋線維数の変動
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概要
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生後1日から540日齢のWistar系雄性ラットの速筋であるEDLおよび遅筋であるSOL両筋を用い,発育による骨格筋線維の変動をみた。さらに,光学顕微鏡レベルで組織化学的方法により筋線維タイプの分化時期などについて検討するとともに,電子顕微鏡での形態観察,satellite cell数の測定をも行なった。1)筋線維タイプの分化完了時期はSDH染色,myosin ATPase染色などの結果から,生後21日頃とすることができる。2)出生後より筋線維タイプ分化完了時期までは,筋重量,筋横断面積および平均筋線維直径の増加が特に大きかった。3)生後7日齢頃までは,成熟筋に比べsatellite cellの数が多い傾向にあった。4)筋線維数はEDL,SOL両筋共に生後1日より21日にかけ有意な増加を示した。さらにSOLでは以後7〜10%の減少を示したものの,21日齢との問には有意な差は認められなかった。5)21日齢までの筋線維数の増加は,極めて細い筋線維が成長し,光学顕微鏡レベルでの観察が可能となること,さらには筋管として存在していたものが,satellite cellの働きにより融合し,筋線維となったためと考えられた。6)SOLで21日齢以後筋線維数の減少傾向がみられた。この時退行過程にあると考えられる筋線維も認められたことから,多重神経支配から単一神経支配となる時期に十分数の筋線維と接合できなかった運動神経が,末梢の筋からの刺激が不十分なため死滅することが考えられる。そのため,それに支配されていた筋線維も死滅することとなり,筋線維数の減少が起こるものと考えられた。すなわち,走行トレーニングにより,筋線維数の減少を抑えることができるとの報告などもあり,筋の活動そのものが筋線維数の維持に果たす役割の重要な因子となることが示唆された。
- 1981-04-01
著者
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