ヒト腰椎変形量の推移よりみた脊椎分離の成因に関する力学的研究
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概要
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著者は,屍体腰椎をもちい,1つの摘出した羊水骨,2椎間板を含む連続した3個の腰椎版(腰椎機能単位と称する),および第1腰椎より第1仙椎にいたる腰椎柱(全腰椎柱と称する)に連続的荷重負荷を行い,椎間板,椎体,椎間関節突起間部の変形量を同時測定した.1)腰椎骨単独に行った実験結果椎体の各部は,荷重位置を前方へ移動させることにより,変形量は増大し,その最大値は61μm./260kg・fであった.関節突起間部の変形には,曲げ応力が大きな影響を与えると考えられる.椎体を前傾させると,後方部最大荷重260kg・f負担時に関節突起間部において259μm.の変形量が生じた.2)腰椎機能単位に行なった実験結果椎体における変形量は椎間板を介すると減少し,その最大値は41μm./260kg・fであった.椎間板は既存の変形は是正するよう変形した.関節突起間部の変形量は荷重軸の移動の影響が少なかった.3)全荷椎中に行った実験結果中間位においては,椎体,椎間板とも前方部の変形が著名であった.その変形量は最大144Kg・f負荷にて,椎体220μm.椎間板436μm.であった.関節突起間部では,上,下の関節突起を離解させる方向に変形し,最大144kg・f負荷で81μm.であった.伸展位において椎体,椎間板ともに変形量と比較して大きく,144kg・f最大負荷時,椎体後方部42μm.椎間板後方部209μm.であった.関節突起間部では上,下の関節突起を近接させる方向に変形し,その変形量は144kg・f負荷時67μmであった.4)通常の腰椎運動下において,荷重によって関節突起間部に圧縮,引っ張りの相反する変形のおこることをあきらかにした.5)重量挙げ,柔道などに多発する脊椎分離の成因の1つとして,本実験結果から見た関節突起部の変形の様態より,それらのスポーツ動作による同部の疲労骨折による可能性が示唆された.
- 日本体力医学会の論文
- 1979-03-01
著者
関連論文
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