性格類型学的研究 : 性格診断の一方法
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概要
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(1)当検査の結果,作業総数と知能隔差値との相関は可成り高いことが,明かである。(2)作業総数,動揺値,上昇率,頂点の位置,誤数,修正数一及び作業曲線の形態等のもつ意義特徴を考察した結果,これ等の諸項目はそれぞれ性格表現の重要な徴候と認められた。(3)したがって,これ等の諸項目に依って,性格の診断が可能であると思う。この報告では,最も典型的な徴候を群化して,6種の型を設定したが,今後更に,前述の諸要項を,種々組合せて,より多くの類型が出来ると思う。この6種の型は,各々孤立したものではなくて,互に連続性が認められる。そのため性格診断の際には,これ等類型の中間に位置して,何れの型に組入れるべきか,判断に迷う場合も生ずる。特に,性格診断上,前記の諸要因の関連を十分に考慮する必要がある。それは,動揺値が少くても,作業総数の多少や,曲線の形態によって,その意味が著しく異り,作業総数が多くても,誤答数の多少によって異り,上昇率の多少も,動揺鳳誤数,修正数及曲線の形などの諸条件によってそれぞれ意味を異にするからである。(4)当検査について最初に懸念した事は,肉体的疲労が,作業結果に如何なる影響を与えるかという点てあつた。もし,肉体的疲労が著しく作業に影響するとすれば,精神作業結果が,身体的条件によって歪曲され,意味をもたなくなると考えたからである。具体的には,肉体的疲労によって,大多数の被験者の作業曲線は,回を重ねるに従って,下降状態を示すのではなかろうかという点であった。しかし,被験者150名の経過曲線を描いた結果下降傾向を示した者は僅かに全体の0.5%(150名中7名)に過ぎなかった。その外に作業放棄者5名を加えても全体の0.8%であった。従って,この作業は当該年齢(小五,六,中)及びそれ以上の者にはだれもができる平易な作業で,肉体的疲労によっては,あまり影響されず,精神的持統性,一貫性,確実性,安定性,克已心,努力等の情緒的意志的面の特性がよく表現されていると考えられる。(5)この実験結果は,果して,恒常性をもつものであるか,被験者の年令の進むにつれて変化し,発展するかについては,今後の研究問題である。(6)更に今後,当実験を,多数の被験者に実施して,)標準化を試みたいと思う。(7)当検査結果と,被験者に対する実験者の観察,過去4年間の担任教師による学籍簿の記録及び現在の担任教師の性格評価との相関がγ=O.7である点から,この方法に依る性格診断の或程度の信擬性が認められると思うが,更に他の性格検査結果との比較検討を加え,検証に努めるつもりである。終りに当研究は,一つの試みであって,不備不足の点も多いと思う。諸賢の御批正を賜り度い。最後に,種々御指導頂いた金大教授薄田司氏並びに検査施行にあたり,御協力下さつた金大附属小学,高岡町中学校,富来中学校の教官各位並びに児童,生徒の皆様に衷心から感謝の意を表しておきたい。
- 1956-12-25
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