答案返却の方法が学習成果に及ぼす影響の研究
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概要
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この研究は,答案返却の方法として,I-無返却,II-単に返却するのみ,III-返却して自己検討,IV-返却して簡単な講評と矯正を加える,の4つを仮定し,それが学習成果に及ぼす効果並に他の2,3の関聯問題を追求することにあった。その結果を要約すれば(1)返却法III,IVはI,IIに比してたしかに効果的だとの結論を得た。(2)返却法IIIとIVとでは,IVがすぐれた方法であると考うべき相当な証拠があがった。(3)方法IとIIについては,何等有意の差を見出すことはできなかった。(4)以上の結論は,学習評価の価値に関する著者の基本仮定のいくつかに関係し,それを支持しているようである。(5)テスト並に答案返却は,一般的にみて,能力の低い生徒に対してよりも,能力の低い生徒に対してかより大きな積極的効果を及ぼした。(6)全体を通しで最も顕著な進歩を示しためは,返却IV法を能力劣等群に適用した場合であった。このことは,能力の劣った生徒への返却法としてはIVが最も効果的であることを意味するであろう。(7)返却法IIIも亦,IVについで劣等群の生徒の学習に対して効果的であった。この研究の実験計画並に結果の統計的処理に関しては,横浜国立大学助教授金井達蔵氏の絶大な御協力を得た。深甚な感謝の意をささげたい。
- 日本教育心理学会の論文
- 1956-02-05