幼児集団におけるリーダーシップ機能についての実験的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ぬり絵の共同作業を課した,幼児の実験的集団にみられたリーダーシップ機能の発達について,つぎのような諸事象が明らかになった。(i)集団の発達の水準は,リーダーシップ機能の発達をもってはかることができる。それは集団活動におけるエネルギーの節約と,よりよき集団目標達成のため与に,集団におこるはたらきだからである。本実験によればリーダーシップ機能は,L・F型言動の出現-特定.リーダー発生(成層化)という段階をたどって発達する。(ii)上にのべた事実を規定する要因の一として,課題の要因があげられる。「四等分図形」の構造は,L・F型言動の生起および,リーダー発生を抑制するはたらきをもつ。一方,「統一図形」はその両者を促進させる力をもつ。「統一図形」は社会的言動一般を「四等分図形」より多くひき起す。(iii)リーダーシップ機能の発達は,集団成員の年令的要因に関係をもつ。普通程度の知能をもつ4.0〜4.5才児の集団では,集団機能発達の水準はきわめて低いが,その水準は生活年令とともに高まっていく。(iV)集団機能発達の水準は,生活年令に関係がある。しかし等しい生活年令であっても,I.Q.の要因によってそれぞれ異なる。本実験においては,I.Q,100〜110集団とI.Q.110〜120集団の間に,L・F型行動の生起とリーダー発生の時期において,それぞれ6ヵ月の差があり,後者の方が早期に出現した。つまり,I.Q.条件や課題事態の条件をのぞいて,生活年令だけで,幼児の集団化発達を論ずることはできないのである。
- 日本教育心理学会の論文
- 1958-06-25