カテゴリに基づく帰納推論 : 5-6歳児の確証度の理解及び帰納論証に対する前提カテゴリの非類似度の適用
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概要
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本研究では, 就学以前の幼児のカテゴリに基づく帰納推論の能力について調べた。とりわけ2つの能力-帰納論証の確証度の性質についての理解と, 前提カテゴリの非類似度の大きさを確証度の判断へ適用すること-を調べた。実験課題は, 確証度に関しての3つの論証の一対比較である。実験1では, 3回の比較判断試行を通して, 幼児は, より確証度の高い論証を一貫して選択できた。これは, 彼らが, 確証度に応じて論証を順位つけられることを意味している。前提カテゴリの非類似度の大きさを, 確証度の評価に適用できたかについて明らかにするために, 順位付けのパタンを分析した。結果は, 幼児の大半は, 前提カテゴリの非類似度の大きさに基づいて, 論証を順位付けられることを示していた。基本的に, これら2つの知見は, 前提カテゴリの組み合わせがより複雑だった実験2においても確認された。全体として, 2つの実験結果は, 幼児が帰納推論の確証度の推移的性質を理解していること, 及び彼らが, 前提カテゴリの非類似度の大きさを, 確証度の評価の手がかりとして利用可能であると理解していることを示唆するものであった。
- 日本教育心理学会の論文
- 1999-03-30
著者
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