幼児の対人行動の研究I : 社会的強化の効果について
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概要
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社会的強化が,幼児の協力的行動の獲得・形成に有効であるか,および,そこに作用する2〜3の要因について検証するために実験が行なわれた。実験は,訓練前,訓練,訓練後,追跡の4期から成り,訓練は2日間継続された。訓練期において社会的強化(言語による賞賛)が与えられると,強化された反序が増加するばかりでなく,訓練後においても増加が大きいことが予想された。社会的強化に影響を与える要因としては,強化以前の協力的行動の獲得度と,強化の与え方の2つが取りあげられた。前者では,協力的行動が未発達の者は実験事態に緊張を持ち,強化の影響をより受けやすいと予想されたし,後者に関しては,反応の手がかりに注目させる手がかり強化が単に反応に強化を与える条件に比し効果があると予想された。被験児は,男児32名,女児28名(平均年令満5歳)で,性別に2人一組とされ,事前テストで示された協力的行動の程度に基づき,H群とL群とに2分され,さらに,各群が3つの強化条件に分けられた。課題は,協力的行動を必要とする個別作業と強化過程の変化をとらえることのできるおはじき作業である。異なる強化条件のもとに2日間の訓練が行なわれ,訓練前後の変化が比較された。その結果,2つの強化群は無強化群に比べ,協力的行動が有意に増加し,その増加は条件内変動としても大きく,また,消去抵抗が大きいことが認められ予想が支持された。L群は,H群に比較し協力的行動の増加が有意に大であり,この点でも予想と一致した。しかし強化の与え方の効果については,予想と異なり両強化群の行動変化に差がみられなかった。これは手がかり強化の操作方法に問題があるためであろう。さらに,実験者への被験者の親和傾向の有無が社会的強化に影響を与えることが示唆され,今後の問題として残された。
- 日本教育心理学会の論文
- 1968-06-30
著者
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